子どもがゲームやYouTubeに夢中になって、なかなかやめられない。
「もうやめなさい!」と言っても聞かず、結局バトルになる…多くのご家庭で経験があるのではないでしょうか。
わが家の6歳息子もその一人です。
先日、オンラインでアート講座を受けた後、そのままiPadでYouTubeを見始め、さらにゲームを始め、気づけば1時間…。
「さすがにもうやめた方がいいよね」と思い、声をかけたのですが、「無理!」と怒り出してしまいました。
ここからは、そのとき実際に試した声かけと息子の反応、そしてそこから気づいた「子どものタイプに合わせた切り替えの工夫」についてご紹介します。
1.観察+共感から入る(アタッチメント理論)
まずやってみたのは、頭ごなしに「やめなさい」と言うのではなく、息子の様子を観察して気持ちを言葉にすること。
「ゲーム、すごく集中してるね!楽しそうだね」
正直、ぎこちなくなってしまいましたが(笑)、それでも「気持ちを受け止めてもらった」という感覚はあったようです。
いきなり「やめなさい」と言うよりは、少しだけ態度が柔らかくなりました。
これは心理学でいうアタッチメント理論に基づくアプローチ。
「まず共感を示すことが行動修正につながりやすい」とされています。
子どもは「自分を理解してもらえた」と感じることで、抵抗感がやわらぐのです。
2.時間で区切るのは難しい(発達心理学)
次に「あと5分で終わりにしよう」と具体的に区切ってみました。
すると「いや、無理!」と即答。
息子は「時間で行動を切り替える」ことが苦手なタイプだと分かりました。
発達心理学では、年齢や性格によって「時間感覚の育ち方」が異なるとされます。
大人にとって「5分」待ったつもりでも、子どもにとっては「楽しいことを遮られる合図」になることもあります。
3.「次の楽しみ」を提案する(転移効果)
そこで方向転換。
ちょうど、生協の箱にドライアイスが入っていたので、
「終わったら一緒にドライアイスで遊ぼう」と提案してみました。
すると、少しだけニコッと、表情に変化が!
「やめさせられる」感覚ではなく、「次に楽しいことが待っている」と思えたことで、気持ちの切り替えがしやすくなったようです。
これは心理学でいう転移効果に近い考え方。「やめる」ではなく「次に移る」と捉えさせると、抵抗感が少なくなるのです。
4.自己決定はまだ難しい(自己決定理論)
次に、「今のゲームの区切りつくのはいつ?そこでやめようか」と本人に判断を委ねてみました。
ところが「分かんない!」と怒りモードに。
幼い子にとっては大きすぎる自己決定はストレスになりやすいのです。
自己決定理論では「自律性」が大切とされますが、選ばせるにしても発達段階に合った小さな選択が望ましいとされています。
5.二択は逆効果(選択の錯覚)
「今終わらせる?それとも5分後に終わらせる?」と選択肢を提示してみました。
返ってきた答えは「5分後に決まってるでしょ!」と不満そう。
選べるようでいて、実は「どっちにしても終わらされる」ことには変わりません。
心理学では「選択の錯覚」と呼ばれる場面です。
6.興味とつなげる(内発的動機づけ)
その日は台風が近づいていて、息子は帰宅後からずっと雨雲レーダーを気にしていました。
そこで私はふと思いつきました。「これ終わったら、雨止んだか見に行こう」
すると「…うん」と小さくうなずきました。
息子は程なくしてゲームを終えて外を見に行き、戻ってきて、ドライアイスで遊びました。
「終わらせる」ではなく、「次に移る」イメージを持てたこと、興味を持っていた「天気」とつなげることで、自然に切り替えられたのです。
これは内発的動機づけを利用した形です。
本人が関心を持っているテーマ(天気)に行動をつなげることで、スムーズに切り替えられました。
普段から子どもを観察してどんなことに関心を持っているかをキャッチしておくことで、切り替えのきっかけを作ることができると分かりました。
7.息子のタイプを分析
今回のやりとりから見えてきた息子の特徴はこんな感じです。
- 楽しいことを終わらせたくない
- 時間では区切れない
- 「未来に移る」とイメージできると切り替えられる
- 興味のあることを提示するとスッと動ける
つまり、わが子には「やめる」より「未来に持ち越す」や「関心とつなげる」が合っているのです。
8.子どもに合わせた対応を考える
今回の経験から学んだのは、子どもによって「切り替えのスイッチ」が違うということです。
- 時間で区切れるタイプ
- 自分で区切りを決めたいタイプ
- 次の楽しみがあると切り替えられるタイプ
- 「未来に持ち越す」と納得できるタイプ
- 興味と結びつくと切り替えられる子
息子は「3」「4」「5」に当てはまりそうです。
だからこれからは、
- 「今やってるゲーム、また明日続きをやろうね」
- 「終わったら○○しよう」
といった声かけを意識していこうと思います。
9.親の気持ちも整う
「やめなさい!」と繰り返していた頃は、私自身がイライラして疲れていました。
でも「子どもに合う切り替え方法を探す」と考えると、少し実験のように取り組めて気持ちも楽になります。
教育とは「その子に合った方法を見つけていく試行錯誤」の積み重ね。
今回の雨チェックのように、子どもの興味を観察してヒントにすれば、切り替えバトルは小さな成長のチャンスに変わると実感しました。
まとめ
- 子どもは「楽しいことを奪われる」と感じると強く反発する
- 「やめなさい」より「次に移ろう」という声かけが効果的
- 子どもの発達段階に合った選択肢を提示する
- 興味や関心を観察し、きっかけに使うとスムーズ
- 子どものタイプを見極め、その子に合った方法を繰り返すことで、切り替えの力が育っていく
- 親自身も「試行錯誤する姿勢」で気持ちが楽になる
ゲームやYouTubeをめぐる親子バトルは避けられないこともありますが、声かけひとつで空気がガラッと変わります。
今回の「雨チェック」のように、子どもの関心を見つけてつなげることが、切り替え上手につながると実感しました。
わが家もまだ試行錯誤中ですが、少しずつ「切り替え上手」になってくれることを願っています。
💡読んでくださったあなたのお子さんは、どのタイプでしょうか?
- ぜひ観察して、その子に合った「切り替えの工夫」を探してみてください。
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