韓国の歴代大統領に見る過酷な運命:文在寅は初めて「穏やかな余生」を送る大統領になるか?

韓国の歴代大統領の多くは、任期後に波乱の人生を送ることが多く、暗殺や投獄、亡命、あるいは命を絶つという悲劇的な結末を迎えた者も少なくありません。そうした背景の中で、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が「亡命も処刑も暗殺も投獄も無しに天寿を全うできる初めての韓国大統領になるのではないか」と話題になっています。この注目は、韓国政治の歴史において大統領という職の重圧とリスクの大きさを物語っています。

歴代大統領たちの悲劇的な運命

韓国の初代大統領である李承晩(イ・スンマン)は、長期間にわたって強権的な支配を行いましたが、1960年の四月革命で市民の反発を受け、辞任しアメリカへ亡命しました。彼は韓国に戻ることなく亡命先で死去しています。

次に、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は1961年に軍事クーデターで政権を掌握し、経済成長を遂げた一方で、1979年に暗殺されました。彼は韓国の経済的発展に貢献したものの、その強権的な手法が国内外での反発を招き、悲劇的な最期を迎えたのです。

朴正煕の後任となった全斗煥(チョン・ドゥファン)も、1980年に軍事クーデターで政権を獲得しましたが、1990年代に入って汚職や光州事件に関する責任を問われ、退任後に投獄されました。彼の後任である盧泰愚(ノ・テウ)も同様に、退任後に汚職の罪で投獄されています。

文民出身の金泳三(キム・ヨンサム)は、民主化の推進者として評価されたものの、彼の後を継いだ金大中(キム・デジュン)は、北朝鮮との和解を目指す政策が評価されノーベル平和賞を受賞しました。しかし、その後の政治的不祥事により評価が二分されました。

盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も、2000年代にクリーンな政治を掲げましたが、退任後に汚職疑惑で厳しい追及を受け、2009年に自ら命を絶つという悲劇的な運命を辿りました。彼の死は韓国社会に深い衝撃を与え、大統領職の厳しい責任とプレッシャーが改めて浮き彫りになりました。

さらに、2013年に初の女性大統領として就任した朴槿恵(パク・クネ)も、2016年に汚職スキャンダルにより大規模な抗議運動を受け、弾劾されました。その後、彼女は職権乱用や汚職の罪で投獄され、実刑判決を受けました。韓国の大統領としては2度目の弾劾であり、その後の生活は獄中でのものとなりました。


文在寅の穏やかな余生

このように、韓国の大統領たちは在任中のみならず退任後も困難な状況に直面してきました。しかし、文在寅前大統領は2022年に比較的穏やかに退任し、静かな生活を送っているとされています。彼は朴槿恵の弾劾後に政権を引き継ぎ、南北関係の改善新型コロナウイルス対策で一定の成果を上げた一方、経済政策不動産問題に対する批判もありました。しかしながら、彼自身はこれまでのところ投獄されることもなく、穏やかな余生を過ごしているようです。


まとめ

韓国の大統領という職務は、その権限の大きさゆえに責任も重大であり、多くの歴代大統領が退任後に法的な追及を受けたり、命を狙われたりすることが常態化していました。文在寅がそのような運命を回避し、歴代の韓国大統領の中で初めて穏やかな晩年を送ることができるのかどうかは、今後の政治情勢によるところが大きいですが、その可能性があることは注目に値します。

韓国の歴史において、大統領という職がいかに重圧を伴うものであるかを考えれば、文在寅がその中で例外となる可能性が高まっている現状は、韓国政治の変化を象徴する出来事と言えるでしょう。

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